
〔1960年/日本/大映〕
子宝に恵まれない江戸蝋燭問屋"の伊豆与は、
養子の与三郎を跡目に迎えるが、まもなく
実子が生まれると、与三郎は自ら放蕩三昧を
繰り返して家を飛びだし、すべてを実子に譲り
あてどない旅へと出る。
得意の新内を流して歩いた木更津の浜で、
与三郎はお富さんと出会い、恋に落ちた。
だが、お富を囲う網元・源左ヱ門は、与三郎を
激しく折檻し、傷だらけのまま海に投げ込んでしまう…。
往年のヒット曲、春日八郎さんの歌う「お富さん」の
原作・・・と言えば、軽快な歌声が脳裏に浮かび、
本作もライトコメディーかと思いきや…
なかなかの悲劇、悲恋の名作。
まず驚くのは、あの頃の中村玉緒さんを差し置いて、
ヒロインを演じるのが富士真奈美さん。
後年の厚かましいおばさんのイメージが強烈過ぎて、
想像もできないだろうが、この美少女っぷり!
見どころは時代劇全盛期だったからこそ出来た、
広大なスタジオに組まれた手抜きなしの時代劇セット、
脂の乗り切った美麗な雷蔵を上回るほど、
本作における富士真奈美さんの切なき美しさは絶品。
この10年後には岡崎友紀さんや石立鉄男さんを
追い回すのである。人が変わるには充分すぎる
歳月である・・・。ねぇ、テル。
■本編出演 市川雷蔵、淡路恵子、富士真奈美、中村玉緒、
大和七海路、香川良介、村田知栄子、浦辺粂子、小沢栄太郎、
潮万太郎、多々良純、小堀阿吉雄、嵐三右衛門、山路義人、
寺島貢、尾上栄五郎、天野一郎、水原浩一、高倉一郎、
五代千太郎、浅尾奥山、原聖四郎、横山文彦、大丸智太郎、
三木譲、小松みどり、高野通子、種井信子、清水明、
浅野寿々子、浜田雄史、旗孝思、滝川潔、丸凡太、尾崎和枝、
山崎洋子、寺内真知子、奥村敦子さんほか。
評価 ★★★☆☆