2023年08月25日

[アラーの使者」はどこにいる?

アラーの使者1.png
〔1960年/日本/東映〕




正義の助っ人・川内康範先生原作による、
「月光仮面」と「レインボーマン」を繋ぐ、
ミッシングリンク、それこそが1960年(昭和35年)
東映製作「アラーの使者」スポンサーはお菓子のカバヤ!
アラーの使者3.png


演ずるは新田真剣佑、眞栄田郷敦氏の父、
若き日の千葉真一さん。
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唯一の現存とされる第1話「恐怖の紅とかげ」の
エピソードは、幾度か東映チャンネルでも放送され、
2020年には映像商品化され現在も発売中となっている。

しかし、この第1話には…肝心の主役でありヒーロー、
「アラーの使者」が出てこないのだ!
当時のテレビ映画は何話かの連続ものとして構成され、
本作も13話でひとつの物語が完結する連続方式と
なっている。今の視点から見れば、なんとも
まどろっこしいが、これが「普通」であった。

本作も60年代後半まではNET系(テレビ朝日)を中心に、
再放送されていた記録があるが、テレビがカラー化
されると、白黒制作の「アラーの使者」もその姿を
消してしまい、人々の記憶からも失われていった。

朝日ソノラマ刊「宇宙船」誌でも記載されたように、
製作元である東映株式会社はテレビ映画のカラー化が
標準となった時期に、白黒時代のプリントは第1話のみを
サンプルとして残し、後はすべて廃棄処分としたとされる。

関西地区では開局間もない、テレビ大阪が毎週土曜日の
深夜に「懐かしの少年映画名作劇場」と題して、
主に宣弘社、東映作品を中心に1話分まるまるを
2本立てで再放送するという企画番組が放送されていた。

(「あつまれテレビっ子」についてはまたの機会に)

ここで放送されたのが第1部最終回である、
第13話「砂漠の凱歌」
後にTBSテレビ系列の懐かし回顧番組「テレビ探偵団」
においても、西城秀樹さんのゲスト回にこの第13話の
映像が部分的に紹介された。

第13話には「アラーの使者」がバッチリ登場。

1986年には東映ビデオ株式会社より、
企画編集のビデオソフト、
「東映100大ヒーロースーパーファイト」が発売。
ここにも第13話より、アラーの使者の活躍が
収められている。
その後、この第13話のフィルムは忽然と消えてしまう。

現在では最初に触れたように、第1話だけが現存している
と言われている。果たしてそうだろうか。

今回の調査により、1990年代半ばにも、第13話を使い、
テレビ番組が製作されていたことが判明。

池田憲章さん司会によるこの番組は全5回に渡り、
白黒時代の特撮番組をひたすら紹介し続ける
マニアックすぎるものであった…。
今回、この記事を書くにあたり検索してみたが、
残念ながら言及されたものを見つける事が出来ず。

少なくともこの時点ではポジプリントは現存していた
ということになる。

今日あっても、明日ない…というのが当たり前の世界
なので、現時点でフィルムがない…というのは事実かも
知れない。しかし、東映株式会社ともあろう大企業。
会社にとって作品は財産である。

放送に使い傷みきったポジフィルムは処分しても、
ネガフィルムは残されているというのが大方の見方。

前例として、同じく第1話しかないと言われていた
「少年ケニヤ」が全話数現存、最終回の別バージョンまで
収録されて映像ソフト化の快挙を果たしている。

ただ、これはソフト発売を前提とした予算が組まれて、
新たにプリントを起こせた・・・というちゃんとした
理由がある。「アラーの使者」もなんらかの二次利用、
三次利用の目途が立てばあるいは・・・。

ただ「少年ケニヤ」DVD発売時よりも、パッケージ
ソフトを取り巻く環境は悪化、下降する一方である。
映像販売の主体は配信に移り、ツタヤのレンタル事業も、
縮小化するばかりである。

こんな時代に収益の見込めない白黒作品販売にゴーサイン
を出す上司が存在するのかどうか・・・。

そんな苦労を買って出るよりは、近年の深夜アニメでも
お手軽にパッケージ化しておくほうがよほど数字が
読めるだろうて。

ボクらの知ってる「アラーの使者」はどこにいるのか?





■番組出演 千葉真一、金子昭雄、一条由美、大前均、
 上田博士、山村奈良吉、上田睦子、大谷警部、八東根竜助、
 山村美智、山村京子、菅原壮男、大久保達也、穂高稔、
 佐久間聰、稲植徳子、井上田鶴、曙三四郎、斉藤邦唯、
 福島亨、青木忠雄、成瀬達也、武藤周作、石川治一、
 岡島泰次郎さんほか。




評価 ★★★☆☆
posted on 2023年08月25日 at 12:23 | テレビ特撮昭和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月04日

「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」1978

宇宙からのメッセージ銀河大戦.jpg
〔1978年/日本/東映〕



第15太陽系の惑星アナリスが、
敵対国家ガバナス帝国に侵攻される。

アナリス出身の若者で、ゲン一族の一人でもある
ハヤトは父に呼び戻され、リュウと猿人バルーが
操縦する宇宙船で帰郷を果たすが、すでに家族は
ガバナスに惨殺されていた・・・。

敵討ちの為、リュウ達の協力を得てアナリス上空
空域のガバナス軍を追うが、ガバナス軍の返り討ちに
遭いリュウの船は大破。

ハヤトは帆船型宇宙船プレアスターに乗った
謎の美女ソフィアに救出される・・・。




「仮面ライダー」「人造人間キカイダー」の
石ノ森章太郎先生原作。当時「スターウォーズ」に
沸く日本列島。映画界、テレビ界も「宇宙戦争」
花盛りな時代に、東映が放ったのが
宇宙版「仁義なき戦い」こと、
「宇宙からのメッセージ」でした。

その人気を受け、テレビへとスピンオフしたのが本作、
1978年(昭和53年)、テレビ朝日系放映開始、
「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」です。

ぶっちゃけた話、「スターウォーズ」がアメリカで
公開された際、日本公開までに1年のタイムラグがあった。

日米同時公開があたりまえの今では、信じられないかも
知れないが、当時はこれが普通だった。

アメリカではすごいSF映画が出来たらしい…。
噂が噂を呼び、日本から海外にスターウォーズを
鑑賞に行くツアーまでが組まれたという。

そんなおいしい状況を日本の映画界が黙って見ている
ハズがない!これはチャンスだ!、日本にスターウォーズが
上陸するまでの間に国産のSF映画を作っちゃおうぜ!
みんな間違えて観に来るかもしんない!

そうして急場でこしらえたのが、東宝の「惑星大戦争」と
東映の「宇宙からのメッセージ」

東映もSFモノのノウハウが理解できなかったのか、
なにかの化学変化を期待したのか、
監督に「仁義なき戦い」の深作欣二監督を起用!
ここに宇宙を股にかけたSFヤクザ映画が爆誕する!

しかし、両作ともに邦画界が思うほどの成績は
あげられず、東宝はやはり特撮はもうダメだわ…と、
サジを投げるのだが、東映は転んでもタダでは起きない。

製作費の回収にいいアイデアねぇかなぁ・・・。
そうだ!ミニチュアの使いまわしと特撮シーンの再利用で
もう一本でっちあげらんねぇか?リサイクルだよ!、
SDGsだよ!キミィ~!!

そして、でっちあ・・・いや、出来上がったのが
「宇宙からのメッセージ 銀河大戦」!!

しかし、予算の都合上、千葉真一、志穂美悦子、成田三樹夫…
なんて役者が使えるハズもない。子供番組だし。

とりあえず、真田広之クンはまだギャラも安いしヒマだから、
そのままスピンオフで。あとのキャストも予算の許す範囲で…。

そんな訳で、猿人バルーというお猿のキャラクターを、
日本随一の猿顔役者、西田良先生が演じる!
猿人バルー.png
マスクいらんだろ?!と思うが、
それでもかぶせちゃう!西田先生の演じる意味が…。
猿人バルー.jpg

もうひとつ、東映の大英断は特撮SF映画、
大宇宙に帆船が飛翔するような作品をなぜか、
時代劇製作のメッカ、東映京都撮影所で作っちゃった!

脚本も「仮面の忍者 赤影」「隠密剣士」などのベテラン、
伊上勝先生がご担当。今度は宇宙を股にかけた大忍術映画が
完成してしまったのである!

しかし、過去に赤影でUFOを飛ばした前科のある、
伊上勝先生である、開き直った脚本がおもしろくない
訳がない。いや、先生が書き続けた忍者モノの集大成とも
言える作品がここに生まれたのであった!

本作を「スターウォーズ」と比べて見るのは邪道である。
SF映画だと思い込むのはやめたまえ。

おもしろければ理屈はいらない!70年代の東映が作る
作品に世間の常識は通用しない。

細かいこたぁどうでもいい!そんな漢こそ本作を見よ!




■番組出演 真田広之、織田あきら、西田良、堀田真三、
 白井滋郎、藤山律子、坂口祐三郎、島田歌穂、安藤一人、
 北村英三、友金敏雄、野村しのぶ、三浦徳子、秋谷陽子、
 小池朝雄、汐路章、田渕岩夫さんほか。




評価 ★★★★☆
posted on 2023年06月04日 at 12:00 | テレビ特撮昭和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月25日

■「ぼくら野球探偵団」DVDサーカイブコレクション 堤大二郎/ガッツ石松/宍戸錠さん■

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〔1980年/日本/円谷プロ〕




「ワンパクズ」とは12人の少年メンバーによる
野球チームだ。

だが、それは表向きの姿であり、怪しい事件が
起こると、野球探偵団と姿を変え、真相究明に
乗り出す。ワンパクズに対して、野望に燃える
世界的な大泥棒、その名は怪盗赤マント!

赤マントが次々に挑戦状を叩きつけてくる。
最初の挑戦は日本のアイドル「パンダ強奪」である。
警視庁の刑事、荒名たちも巻き込み、上を下への大騒ぎ!




「ウルトラマン」で著名な円谷プロダクション製作ながら、
いまだ一度もビデオグラム化された事のない、
埋もれた佳作。それが1980年(昭和55年)、
テレビ東京(当時は東京12チャンネル)系放映開始、
「ぼくら野球探偵団」

野球チームプラス、少年探偵団、それに絡んで来る、
謎の怪盗…という江戸川乱歩先生の時代からある、
定番パターンを円谷プロダクションゆかりの俳優さん
たちがコメディータッチで演じる一作。

素晴らしいのはやはり、宍戸錠さん。
「スターウルフ」の時代から、子供番組であろうが、
どっきりカメラであろうが一切、手は抜かない!

本作においても自称、「この番組の主役」と言い切る
だけの事はあり、第1話から特別扱いの待遇である。
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かつて日活でならしたエースのジョーの銃裁きは
ここでも健在。
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こんなシーンが子供番組に存在する…、
令和では考えられないことである。

演技経験の浅いガッツ石松さんに二役をあてがったり、
円谷プロダクションもムチャ振り…というか冒険が過ぎる。

ムチャが祟ったのか番組はわずか18話で終了を迎える。
しかし人気がない、視聴率が悪いための打ち切りではなく、
当初からテレビ編成の空白期間を埋めるためだったのでは
ないかと思われる。続く新ドラマ「ときめき十字星」も
短期に終了している。

主題歌を現在も根強いファンがいる、関西出身の
プログレッシブ・ロックバンド「ノヴェラ」が担当。
本編第15話には堂々のゲスト出演を果たしている。

特撮要素に目立つところが少なく、地味な印象も
受けるが、現在では絶滅してしまった感のある
「子供向けドラマ」が今回初のソフト化を果たすのは
快挙と言えるだろう。

見た目ほとんど変質者の赤マントの活躍を存分に
楽しんでいただきたい。
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ぼくら野球探偵団6.png




■番組出演 堤大二郎、松本誠一、菅照美、田口トモ子、
 加藤淳也、杉本親寛、手塚辰也、豊田美紀、滝本圭三、
 高柳裕之、秋葉伸実、長田恒義、海老井まゆみ、小山渚、
 増田恵美、小野はるみ、白石のり子、ガッツ石松、
 宍戸錠、荻原紀、寺島達夫 、堀田真三、竹井みどり、
 宮尾すすむ、秋元羊介、大矢兼臣、なべおさみ、灰地順、
 沼崎節子、竹村洋輔、吉田義夫、小島三児、天草四郎、
 小山昌幸、藤木武司、伊沢一郎、田中筆子、梅津栄、
 春田和秀、斉藤浩子、ニューヤンキース、東龍明、
 伊達三郎、ウイリー・ドーシー、村松克己、木田三千雄、
 久遠利三、日和田春生、時田優、汐路章、小坂まさる、
 ノヴェラ、古今亭朝次、渡部猛、三谷昇、花房徹、
 高崎蓉子、高松政雄さんほか。
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■全18話、約470分収録(映像特典を含む)
posted on 2023年04月25日 at 12:00 | テレビ特撮昭和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする